先日男三人で映画を見に。太平洋の奇跡〜フォックスと呼ばれた男〜http://www.taiheiyo-no-kiseki.jp/index.html
ネタバレになるのでシナリオは詳しくは書きませんが、良い映画でした。戦争映画は必ず原作者や制作側の主義主張が表れてどちらかに傾くのは当然だと思うが、これは非常にフラット。撮影を日本チームとアメリカチームで独立して撮影、原作者はアメリカ人、と言う状態で大半がセオリー通りのアメリカ賛美、日本絶対悪と言う構造になる所が、これはそうではなく、それぞれの当時の状況立場、国民性や一人ひとりの性格まで細部にわたってかなり気を使っていたように思う。登場人物の戦時下の人間性を、それぞれ立場があるが、シナリオでそれぞれ選択して行く事はどれも理解してやらねばならない、否定は出来ないと言う事を再確認。一つ懸念するのが見た人の中で、主人公大場さんが選んだ投降・降伏と言う選択が正義と感じ、玉砕を選んだ隊長達が悪、とそう言う構図にならないで欲しい。現代の感覚で言うと命が絶対と言うのがスタンダードだが、当時の日本人の国民感情を考慮すると玉砕を選ぶ事が当たり前でそれが国への思いだったのだ(そりゃ戦陣訓と言うどうしようもないものもあるけど…)。それは兵隊だけではなく、一般庶民にまで浸透していた事が井上真央が演じていた女性の描写で描かれている。そこを理解して見ないと映画に関わった人たちに失礼だし、何より先人達に失礼。ベンガルの正直ほっとしていると言う気持ちも責められないし、山田孝之の役を誰も攻める事は出来ない。もちろん大場さんの選択は勇気ある選択で誇るべき事だと思うが、投降後大場さんの収容所に入って行く時の台詞が当時の人間の感覚なのだろうな。投降シーンは泣けます。自分達の先人達はなんて誇り高い人たちなのだろうと。これ全てで戦争を語ることはもちろん出来ませんが、是非見て欲しいです。