日下公人氏の「いまこそ、日本、繁栄の好機!」(ワック文庫)

いまこそ、日本、繁栄の好機! (WAC BUNKO)

いまこそ、日本、繁栄の好機! (WAC BUNKO)

を読んだ。月刊 Will 誌で2006年11月号から2010年9月号の間に掲載された氏のコラムをまとめた物で、国際社会における日本はこれからどう立ち振る舞って行けば良いかと言う事を歴史、文化を踏まえ経済をも含め、氏の見解、提案をして行くと言う種のもの。文体も面白く、ユーモアもところどころに見え隠れしていてさらっと読めてしまった。コラムとはこうあるべきだなぁと思う。歴代首相に当てはめると安倍氏から菅氏まで(4年で5人も変わったのか…)。時系列ではなく全体を3部に分け、それぞれの順番も考慮してまとめてあるため、安倍氏の話から急に鳩山氏になったりするからそこがちょっと置いて行かれそうになるが、一つ一つが簡潔なので問題無し。アメリカ依存に異を唱え、中国の問題点(先見の目が凄い)、はたまたマスコミ批判にまで多岐におよび、ピカチュウまで出てくる。特に第三部 いまだ「古代」の中国、世界が見えないマスコミ は痛快で一気に読み上げてしまった。全体を通して安倍氏、麻生氏を肯定、その後を否定の形で通しているが、今の自分にとっては当たり前で、自分がいかに当時(麻生総理時)マスコミに流されていたかを改めて痛感。明らかに意図的にマスコミが安倍、麻生両氏を一方的に叩いていたかを再確認させてくれた(福田氏に関しては全くといって良いほど触れていない。ははは、そりゃそうだ)。特にこれは全体に言える事だが、氏の持論を「日本よこうしなさい」と言わんばかりに提案形式で展開して行くのだが、そのスタンスが全く嫌味な部分や偉そうな態度が感じられず、どれもなるほどーと感心させられる点が好感が持てた。氏の代名詞とも言える日本核保有論においても、「原爆を持ちたくないと言う理想は結構だが、それを貫くと、日本も自分の身の置き場に窮する事態になる事を考えているのだろうか。」と投げかけ、日本が他国の核にやられても言いのなら話は別だがそうでないのなら現実的に「原爆を持たなくても済む方法」を本気で考えなければならないと。反対派は核を日本が持つと使ってしまうのでは、と言うがこれに対し氏は「おいそれと使わない人物を首相に据えておけばよい。」と言っている。ついつい頷いてしまうほど正論でごもっともだと思う。それに持ったからと言ってひょいひょい使うほど日本人はバカではない。氏も言っているが、日本人を信用してないのは日本人だと言う意見は全くその通り。核を無くそうと言っても(言うだけ言って何もせずノーベル賞貰った人もいますが)一向に無くならない世界情勢の中、ましてや唯一の被爆国である日本が核を持つ事の意味の方がむやみにダメだダメだと言うよりよっぽど効果があるのではなかろうか。ダメだ持つな捨てろと言うだけではお隣さんが捨てる訳ではなく、しっかりこっちに標準に合わせている。習近平になろうが正恩だろうが変わるわけは無く、そんな中何も自分の口でしゃべらず言いなりになってる首相なんかに任せてはいられないし、一人暴走をかましてるエセ弁護士の独断を許してはならない。かつて反体制を気取り暴れまわった学生諸君が日本をあやつり、マスコミ中枢にも幅を効かせている。おかしいよ。